1989年(平成元年)1月8日から始まった元号平成は2019年(平成31年)4月30日に終了する。
残念ながら自分は平成初期の生まれなので、元号が変わる瞬間どうだったかの実体験は無く文字や映像でしか窺い知る事が出来ない。
なので元号が変わる瞬間に立ち会える来年が楽しみだ。
しかし楽しみでもあると同時に寂しさも感じてしまう。
なぜなら終わりを予感した、僕が育った平成が閉店セールを始めてるとしか思えない出来事が続いているからだ。
長寿番組が続々と終わること然り、某アイドルグループの解散然り、時代の寵児だった大物音楽プロデューサーの引退然り…。
昭和は死で終わるが平成は引退で終わると誰かが言っていた。
ニュースを見れば気が滅入る話ばかり、それに言及して偉そうな事を言うインターネットにもうんざりする毎日。
かの国で生まれたインターネットが我が国日本へ導入され商用化へ舵を切ったのは1991年の事だそうだ。
インターネットも平成と同じく行きつくところまで行きついてしまったのだろうか…。
そんな終わり行く平成終盤の、インターネットに勃興した「バーチャルユーチューバー」という文化に平成の断末魔を、消えゆくろうそくの炎が最後に赤々と燃えるようなものを感じてならない。
その中でもにじさんじ所属の月ノ美兎は特に異彩を放ってると言っていいだろう。
彼女は自己紹介動画から走っていた。
黒髪清楚委員長というもう10000回見た“ガワ”から放たれる強い言葉達に誰もが心を奪われた。僕もきっとそうなのであろう。
…と言っているが彼女を僕が見つけたのはこの動画からではない。大変今でも残念に思う。
僕が彼女を見つけたのは同じにじさんじ所属の樋口楓のこの配信からであったと思う。多分深夜に眠れなくて何となくつけた程度の配信だった。
この配信を開いて少しした後彼女は「死とは何だと思いますか?」と疑問を投げかけていた。
バーチャル存在が???死について考える???とは???ら???るるr???
僕は一瞬混乱してしまったがこの言葉で一気に彼女に惹かれたのだ。
その後の彼女の活躍は言うに及ばない、彼女はインターネットという名の荒野をまさに駆け抜けて行った。
そんな中彼女はバーチャル(ryことねこます氏に続いてニコニコ生放送への進出を果たした。
その中の1コーナー月ノ美兎のニコニコトークで彼女はこんな話をしていた。
「皆さんはご存知ですか?ホットケーキをAVのようにした動画がありまして…。」
僕はその瞬間頭を過った、もしかしたらその動画を見たことあるのではないか?最近ではなく遠い昔に、と。
当然だ、この配信があった当初この動画は長らく非公開だったのだから。
予感は的中した、自分のツイッターのログを探してみると2012年にこの動画を見て笑っていた過去の自分がいた。
自分はいたく感動した、「何万人ものリスナーに向かって配信してる彼女と僕はあの頃同じ動画を見て笑っていたのか…。」と。
正確な時期は分からない、だが確かに彼女が同じ時期にインターネットにいて同じ物を見ていた事実に変わりはない。この感動は生涯忘れることはないだろう。
彼女がこの配信の後に言った言葉にも僕は胸を撃たれた。
「例えば10年後わたくしが姿を現さなくなったとしても、そういえば月ノ美兎っていたよねーと誰かが言うとするじゃないですか。そういうネットの歴史の一部になれたことがうれしいです。」と。
この配信ではこうも言っていた。
「なんか自分のその、一芸を発揮できるみたいなところ。わたくしをそういうきっかけの土台にしていただけたら…。」と。
この他にも彼女の発言で胸を撃たれた言葉は上げると枚挙にいとまがない。
彼女は自分を育ててくれたインターネットが大好きなのだと、大好きなインターネットに何を残していけるのか。インターネットへの恩返しをしているのだと僕は勝手にそう思った。
そして彼女は彼女があの頃のニコニコ動画でホットケーキAVを見つけた時のように、そんなインターネットの中から自分を見つけてくれてありがとうと言っているように思えてならない。
最後に、彼女はKAI-YOUのインタビュー記事でこう言っている。
月ノ美兎 あと…、わたくしは「にじさんじ」のオーディションを受ける前に、自分でバーチャルYouTuberをやろうとしていたんです。シロさんが好きでよく見ていたので。
彼女はおそらくこうして“委員長”というガワを手にしていなくても今現在並みとは言えないが、インターネットでそのポテンシャルを大きく発していたのだろう。
平成終盤に勃興した「バーチャルユーチューバー」という文化は行きつく所まで行っていたインターネットという名の荒野をまた走らせた。
その中でも彼女「月ノ美兎」は風を切って走っている、これからも走る事は辞めないだろう。
そんな走る彼女の背中を、僕は見ながら走っている。その背中が見えなくなるまで大いに荒野を駆けるかもしれない。
僕は大いに走る彼女をこれからも見ていたい。しっかり記憶していきたいと強く思う。
そんな彼女の事を僕は10年後、平成ではない元号に新たな代わった時代のインターネットで語るだろう。
「平成のインターネットには月ノ美兎という荒野を風を切って駆ける兎がいた。」と。
以上です。
追伸:彼女のYoutubeチャンネルでの再生リストは今からでも月ノ美兎を把握できるように心を割いている。
ぜひこの記事を最後まで読んでくれた君にも月ノ美兎を、平成最後のインターネットを駆ける兎をその目で見ていてほしい。